メンテナンススタンドを自作してみる
ロードバイクは最初に一式揃えてしまえば後はそんなにお金が掛からないので、大人の趣味としてはむしろ安上がりな方…………などと考えていた時期が自分にもありました。
実際はタイヤやチューブ、バーテープにブレーキシューなど定期的に交換しないといけない部品が盛りだくさんだし、ハマればハマるほどカスタムパーツやアップグレードに手を出したくなる底なし沼のように恐ろしい趣味なのです!!(マジで)
なので、もしあなたが石油王か宝くじ高額当選者あたりでないのなら、お金を掛ける際の優先順位を決めておかなければなりません。
ちなみに私の場合は『バイク本体>それ以外』です。
そんな訳で、以前から購入を検討していたメンテナンススタンドを思い切って自作してみることにしました。
①土台を作る
まず用意したのは、カインズで購入したパラソル型の室内物干し(¥1980)
使用するのは三脚部分とポール一本のみで、その他は嫁か母親にプレゼントしましょう。きっと微妙な顔をされると思います。
ポールははめ込むだけでも使用はできますが、それだと三脚の穴の底面にばかり負荷が掛かってしまいそうだったので接着。近所のホームセンターで購入したG17という名前のボンドを流し込み、ポールをぶっ刺して完全固定します。これで一応土台は完成です。
②台座を作る
土台が完成したので、今度はロードバイクを乗せて固定する台座の作成に取り掛かります。用意するのは塩ビパイプ(100センチ)一本とT字型の接続部品。(チーズというそうです)二つ合わせて近所のホームセンターで¥625で購入しました。塩ビパイプは太さの種類が結構ありますが、土台のパイプの直径が25ミリだったので、最も大きさの近い内径30ミリのものを選びました。
ロードバイクのフロントホイールの固定位置からボトムブラケットまでが約60センチだったので、その長さで塩ビパイプをカット。(カットには以前石膏ボードを切断する際に使用した電工ペッカーという工具を使用しましたが、ノコギリだったらどんなものでもだいたい問題なく切れると思います)
これをT字型パーツの左右どちらかにポールを接着する際にも使用したボンドで接着。残った40センチは、同じくT字型パーツの下部に接着します。
③台座に自転車を固定するギミックを取り付ける。(フロントフォーク側)
今回のメンテナンススタンド自作で最も苦労したのが、この自転車の固定部分でした。あれこれ考えた結果、フロントフォーク側はホイールの部品をそのまま使うことにしました。
どこのロードバイク乗りのご家庭にもある(無かったらゴメンナサイ)もう使用する機会が無いであろう古ホイールを分解します。クイックリリースやロックナットを外し、フォークを固定するために必要な部品をごっそりいただきます。今回はビワイチの直後にスポークが折れたフルクラムのレーシング7さんに犠牲になっていただきました。完成車付属品でありながら約3年間にも及ぶ長い間、私のロードライフに付き合ってくれてありがとう!
ホイールから部品を外し終えたら軸の直径を測定。ホイールメーカーによって違いがあるのかは分かりませんが、レーシング7の場合はちょうど1センチでした。
さて、もしあなたのご家庭に電動ドライバー用の1センチのドリルが無いのであれば、次にすべきことは明白です。速やかにマイカーのキーと財布を手に、ホームセンターへ向かってください。必要なものはそこにあります。
今回はボトムブラケットの位置をT字型パーツの後方のあたりに持って来たかったので、そこから逆算した位置にホイールパーツを通すための穴を開けます。ちなみにこの穴が左右でズレているとフォークを固定した際にもれなく車体が傾くことになるので、地味に重要な作業です。今回は気合いと勢いで何とかなりましたが、円の左右に水平に穴を開けるという作業はぶっちゃけ難易度が高めです。何か良い方法があれば誰か教えてください。
④台座に自転車を固定するギミックを取り付ける。(ボトムブラケット側)
フロント側が完成したら、次はボトムブラケット(以後BBと省略)側に取り掛かります。ネットで調べた結果、フロント側のようにガッチリ固定することは不可能なので、クッション材等を使って車体を『乗せる』方法を取るしか無いようです。ただ、BBに対して縦に保持するパターンと横に保持するパターンがあるようで、今回は恐らく最も使用されているであろうミノウラのメンテナンススタンドと同じ縦方式にしました。
使用したのは塩ビパイプの継手ソケットという商品で、お値段たったの¥80で購入。こいつを竹を割るような感じで半分より気持ち大きめにカットし、T字型パーツの後方に適当なネジで二箇所ほど固定。(死ぬほど硬いので注意!)
これだけでもBBを乗せること自体は可能そうですが、不安定ですし、何より自転車との接触点に傷が付きそうなので緩衝材をかませる必要性があります。柔らか過ぎず硬過ぎず、且つお値段手頃なものを見つけるのには苦労しましたが、最終的にカインズにあるスポンジ板(¥98)を使用することに決めました。切断してしまわないようにカッターナイフで中心に切れ目を入れ、更に左右の中心にも切れ目を入れます。(合計3箇所の切れ目を入れ、繋がったまま4等分します)
これを先ほどのBB受けの上に接着します。G17ボンドを使う最後の場面なので、使い切る気持ちでがっつり付けましょう。なお、硬化するまでに結構時間を要するので、ビニールテープなどで固定しておきます。特に見た目に拘らないのであれば、テープはそのまま残しておいた方が強度が出て良いと思います。これでBB受けの完成です。
⑤その他の改良
実際に自転車を乗せてみていくつかの改善点が見えて来たので、できる範囲で修正します。
まずは高さの調節ができた方が良いと思ったので、土台側の支柱ポールに適当に二箇所ほど貫通穴を開けます。フロントフォーク側で使用した1センチのドリルは流石にデカすぎてポールの強度が不安なので、ダイソーで6ミリのドリルを別途購入。穴が開いたら、そこに近所のホームセンターで購入したナベコネジ(¥40)というネジを嵌め、高さ調節ギミックの完成。
台座が回転する仕様にしましたが固定して使いたい場合もあると思うので、台座支柱の塩ビパイプにも同じドリルで貫通穴を開けます。説明は不要だと思いますが、土台のポールと台座の塩ビパイプ全ての穴に一度にネジを通すことで台座の固定が可能となります。(構造上フロント側に重さが偏るので、台座を固定した際に真下に三脚の脚が来るようにした方が安定すると思います)
土台のポールと台座の塩ビパイプ間に結構な隙間があり、自転車を乗せた際にかなりぐらつくので、部分的にビニールテープを巻くなどして調整します。たったこれだけの作業で、驚くほどぐらつかなくなります。
これで完成となります。
ぶっちゃけ見た目は微妙そのものですが、自宅内だけで使用するものなので気にしません。
では、早速ロードバイクを乗せてみます。前後のホイールを外した後、フロントフォークをクイックリリースで完全に固定し、クッション材の上にBBを乗せます。
完成ついでにチェーンの清掃を行ってみましたが、一応問題なく行えました。今後、ギア周りのアルテグラ化をしていく予定なので、その際の活躍を大いに期待しています。
今回の反省点は、塩ビパイプを使用した都合上、市販のスタンドのようにフロント側に傾斜をつけることができず、結果として重心がかなり前フォーク側に寄ってしまったことです。もし今後、改良版を作る時はその辺の問題を解決し、より使いやすいメンテナンススタンドを目指したいと思います。(市販のものを買うよりトータルの金額が嵩むのでは?)
最後に今回のDIYにかかったお金を計算してみたいと思います。
パラソル型室内物干し ¥1,980
塩ビパイプとチーズ(接続部品) ¥625
継手ソケット ¥80
G17ボンド ¥98
クッション材 ¥98
ナベコネジ ¥40
1センチドリル刃 ¥598
6ミリドリル刃(ダイソー) ¥108
全て合計すると¥3,627で、純粋な材料費のみだと¥2,921でした。
アマゾンで似たような機構のメンテナンススタンドを購入すると約一万円ほど掛かるので、費用面だけで考えればかなりお得にできたのではないでしょうか?