ビワイチで詰みかけた話
令和2年の9月某日、琵琶湖一周サイクリング(通称ビワイチ)に行ってきました。
遠征でのロングライドは昨年のアワイチ(淡路島一周)に続き人生2回目。アワイチが約150㎞だったのに対し、北湖と南湖の全てを回るフルビワイチは約200㎞。距離はありますがその殆どが平坦らしいので、よほどのアクシデントでもない限り走りきれるはずです。(多分)
そんな訳で、愛車のビアンキと共にマイカーで前日に滋賀県入り。折角なので今回はgo to キャンペーンを利用し、家族旅行も兼ねてのライドです。
早朝6時。爆睡する嫁と子供を起こさぬように準備やら食事やらを済ませ、ホテルの駐車場をスタート。先ずはビワイチの出発地点となる瀬田の唐橋を目指します。日曜なこともあってか、早朝にも関わらず琵琶湖周辺は釣り人だらけ。『こんな朝っぱらからよくやるよ』という感想は多分お互い様なのだろう。
ホテルの場所が近江大橋のすぐ近くだったこともあり、あっという間に唐橋に到着。日本三名橋というだけあって、中々に趣のある良い橋です。この場所から数多のサイクリスト達がビワイチに挑んだのかと思うと非常に感慨深いです。不具合が出ていないか車体を軽くチェックし、午前6時13分いよいよビワイチスタート。取り敢えず、北湖と南湖の境目でもある琵琶湖大橋を目指します。
事前に調べていた通り、ルート上には鮮やかなブルーのラインが敷かれており、道の心配をすることなく走りに集中できます。美しい景色に走りやすい道。ここはロード乗りにとっての天国なんじゃなかろうか? そんなことを考えながらペダルを回していると、気がつけば南湖は終了。琵琶湖大橋東詰にあるローソンで1度目の休憩を取ります。
到着時刻は7時1分、走行距離は約19㎞。
まだまだ序盤のため頑張り過ぎないようなペースで漕ぎました。トイレと軽く補給を済ませ、次なる目的地は彦根城。道中、サイクリストの聖地で写真を撮ったり、長命寺港コースに寄り道してみたり、自分なりに楽しみながら北上。
半端ない向かい風に心と膝が折れそうになりつつも、なんとか彦根城(の近くのファミマ)に到着。
時刻は8時50分、走行距離は62㎞。
二時間近く走ってやっと三分の一。ラピュタで言えば軍の基地でロボットが無双している場面くらいか? ドーラ並の脚力が欲しいぜ…。
再び北上を開始し、10時24分に琵琶湖の北端に近い木之本(のインター前のセブン)に到着。走行距離は93㎞。ここへは何となく11時ごろの到着を予定していたのですが、思いの外速く着くことができました。
少し早いですがここで昼休憩。昼食に選んだのはツナマヨおにぎりとコーヒー、そしてブラックサンダー一個。まだ100キロ近く走らないといけないため、ここは敢えて少なめです。
11時頃に後半戦スタート。アワイチ唯一の山である賤ヶ岳へ向かいます。自身やバイクのコンディションは全く問題無し。が、心なしか天気が怪しい…。
アワイチの際は島の南側で散々雨に降られ、半ば命懸けで激坂を下った経験もある自身にとって(無論、ブレーキはキャリパー)天気予報は最も気になる要素の一つ。スタート前に確認した予報では降水確率10パーセントだったし、まさか降られまいと高を括っていたのですが…。
旧賤ヶ岳トンネルを抜けると、そこは雨だった。
なぜ今なのか…。
なぜビワイチのコースで唯一存在する山のてっぺんに居る時に急に降り出すのか…。
絶賛発動中の自身のスタンド能力『バットレインマン』(この上なく最悪のタイミングで雨を降らせる能力)が心底恨めしい。
雨は断続的に降り続いたもののマキノに入る頃には晴れ間が覗くようになり、一時はびしょ濡れになったウェアも再び牙を剝く向かい風によってすぐに乾いてくれました。(なんで追い風にならねーんだよという疑問はこの際頭からぶん投げることにした)
何とか無事に後半最初の目的地である湖のテラスの到着。
時刻は12時10分、走行距離119㎞。ベンチに腰掛けプロテインバーを頬張ります。
次なる目的地は白髭神社だったのですが、ここら辺はあまりにも交通量が多く、観光客で溢れ返っていたために写真だけ撮ってスルーしました。と言うか、そこら辺から琵琶湖大橋を過ぎる辺りまでとにかく交通量が多く、事故らないようにするので精一杯でぶっちゃけあまり覚えていません。
そして、15時44分。瀬田の唐橋を渡り、ついにゴール!
無事ビワイチを達成することができました!
純粋な走行時間は7時間40分。単純にスタートからゴールまでに掛かった時間だと9時間50分。
大きなアクシデントもなく大成功のロングライドでした…と言いたいところですが、実は一つだけやらかしたことが。
琵琶湖大橋付近を走行中、段差に乗り上げた衝撃でハンドルバーに装着していたスマホがぶっ飛びました。幸いにして落ちた先が歩道だったためオシャカにはなりませんでしたが、もし車道側へ飛んでいたら…。しかも、迂闊なことに私は嫁の携帯番号を暗記もメモもしていなかったので、連絡手段を完全に失っていた(詰んでいた)可能性すらあったのです。家庭持ちサイクリストである私にとって、ロードバイクは『やっている』ではなく『やらせていただいている』趣味。無駄に迷惑や心配を掛けることはあってはならないことです。ということで、最後に今回のビワイチで得た経験や注意点・改善点を箇条書きにします。
・連絡手段をスマホだけに依存しない。(特に遠征時は最低限必要な電話番号のメモを持参し、公衆電話の設置場所なども記入しておく)
・後半ルートが分かりにくい場所がいくつかあるので、GPSサイコンが無い場合は事前にしっかり頭に入れておく。(個人的にはフリー冊子のFUN! RIDE! BIWAICHIに掲載されているストラーバのルートが非常に役立ちました)
・推奨ルート上にある岩熊第二トンネルが照明工事により完全な暗闇(令和2年12月までの予定)なので、日没後に走行予定がなくてもライトは絶対に持参する。(旧賤ヶ岳トンネルを軽く凌ぐ最恐スポットでした)
・旧賤ヶ岳トンネルの下り坂は落ち葉が多かったため、雨が降っていなくてもスピードの出し過ぎやバイクコントロールに注意する。
・近江高島駅を越えた辺りから走行難易度が跳ね上がるため(交通量が多く、且つ迂回路も無い)直前に休憩を取り、肉体的にも精神的にも余裕を持った状態に整えておく。
ゴール地点である瀬田の唐橋も日中はかなり交通量が多いため、もし2回目をするのであれば琵琶湖大橋の東側にあるピエリ守山スタート(サイクリング目的の駐車場があります)反時計回りに一周し、最後に琵琶湖大橋を渡って締めるルートでしょうか? 琵琶湖大橋を渡り損ねたことだけが今回のビワイチの心残りです。
ロードバイクに乗って良かった。ビワイチに来て良かった! 心の底からそう思える楽しい1日でした。こんなにも素晴らしい体験をさせてくれた滋賀県の方々や琵琶湖に感謝。本当にありがとうございました。